まあちゃんの捕獲の難しさを思い知る。
まあちゃんごめんね。
まあちゃんは時々うちのベランダに来るようになり、おやつを食べて帰る。
それも、早朝3時に必ず来ていた。
だんだん親友も連れてきては、食べて逃げるように帰って行く。
親友の名前は、キジトラのモモ。
桜耳にカットされている。地域猫できっと誰かが世話をしているのか、かなり大きい猫である。
まあちゃんは、後輩思いでモモが食べてる間見守りしていた。
気がつくとモモはいなくなり、まあちゃんは食べられず帰っていく。
まあちゃんは誰にも飼われておらず、痩せていた。
ある日、まあちゃんの腹部に傷があり、次の日もどんどん酷くなっていた。
そして、栄養状態も良くないのか咳き込んでいる様子もあった。
私は、その日からカリカリの餌を置き、出来るだけまあちゃんが食べられるように見守りした。
何日か経ち、まあちゃんの咳は治まったが、傷部は血が滲んでいた。
直ぐに捕獲して病院に連れていこうと思い立った私は、洗濯ネットを準備してまあちゃんが私に慣れてくれるのを待った。
何日か過ぎ、だんだん餌を持っていくとナゼられる程の距離になってきた。
私は次の日捕獲を決心して、次の日の早朝3時にまあちゃんを待った。
決行の当日は、まあちゃんの他に2匹の猫が一緒にきた。
他の猫の前での捕獲で迷いもあったが、行うことにした。
まあちゃんが、いつもどうり私のよこで安心しながら食べていた。
私は緊張でドキドキが止まらない。
悪い事をするわけではないのに、まあちゃんに恐怖を与える事がなかなか勇気をくれなかった。
しかし、今しかない。
勇気を出し、まあちゃんの頭部から覆うようにネットを被せた。
まあちゃんは高齢でよちよち歩き、なもで力も弱く直ぐ捕獲出来るだろうと思った。
猫捕獲に詳しい知り合いからは「大丈夫?捕獲難しくない?ネットで?」と何度も言われていた。
見事にその予感は的中した。
大失敗である。
まあちゃんに被せた途端、下まで被せる事がしっかり出来ず、まあちゃんは暴れだし見事!脱出成功。
後ろにいた2匹も一目散に逃げて、まあちゃんも消えていった。
失敗した直後、まあちゃんに怖い思いをさせてしまい自分への最大の落ち込みが私に襲いかかってきた。
猫が大好きな私にとっては、立ち直るすべさえも与えられない。
もう、まあちゃんは来ないかも知れない。
そして、もう会えないかも知れない。
気持ちはどん底である。
毎日、うちの猫が会うのを楽しみにしていたのに、それも奪ってしまった。
まあちゃんの怪我が悪化して死んでしまったらどうしよう。
など、どんどん反省が追いかけてくる。
そして、メールで知り合いからの心配の声がどんどん届いた。
「そうなのね、ネットでは難しいよ。首根っこつかんだら逃げられないんだけど、暴れちゃうと捕獲難しいよね」
と同じような声が寄せられた。
が、「また、日がたてば戻って来るかもしれないよ」
との声もあり、私はまあちゃんが来てくれる事を願った。
そして次の日はキジトラのモモ、白茶の茶々が来てくれた。
後ろで、まあちゃんが捕獲されていたのを見ていたのに、直ぐにくるなんてビックリである。
しかし、まあちゃんは来なかった。
3日が過ぎ、早朝3時にカーテンを開けると放離れた場所にまあちゃんがいた。
モモたちが餌を食べていると、まあちゃんも以前と同じように食べに来てくれたのである。
腹部の傷を確認すると、更に酷くなっていた。
鼻水、ヨダレ、涙も出て咳もしていた。
私は、少しでも体力がつくように栄養のあるものをまあちゃんが食べられるように工夫した。
早く病院に連れて行きたかったのに、あ~あの失敗がなければと悔やんでいた。
次は失敗はあり得ない。
慎重に行わなければと心に決め、捕獲器を区役所に借りに行く事にした。
捕獲器なんて触ったことも見たこともない私がである。
なんでも一人でやれると思い込む自分の短所に気がつかない私が、この経験から一人では何も出来ない人間だった事を思い知らされる事となった。