小夜里

高齢猫まあちゃんの日記

マルの里親になる②

家族になったマル。

 

マルと面会する当日になった。

 

家からマルちゃんの家までは、電車で一時間かかる。

駅に着いたらパン屋さんで待ち合わせと決めていた。

 

顔も知らないし性別もわからない。

なので、着くと直ぐに私の着ている物をメールした。

しかし、返事はない。

そして時間20分過ぎても来る気配が無い。

 

私は、「騙されたのかな?やっぱりインターネットは危険だったかな」

と不安になった。

その後、私の名前を呼び「こんにちは、宜しくお願いします」と真面目そうな男性が近づいて来た。

 

そして歩きだし、いろいろ事情を話し出した。

「マルは転勤が決まって親類や友人に飼える人がいないかずっと探していたのですが、皆ダメで見つからなければ予定通りの転勤は出来なかったんです。」

と言った。

 

家に着くと、そこはアパートで、その2階に案内された。

玄関に入るとマルちゃんが「にゃーにゃー」とやって来た。

 

部屋の間取りは2DKベランダがある。

明るい日差しが入る所だったが、周辺がアパートのため窓が全て曇りガラスの担っていた。

なので、窓を開けない限り、外を見ることは出来なかった。

 

ただ、ベランダで日光浴をしているような感じや、クローゼットのドアが取り外してあり、マルちゃんの為にいろいろ工夫が見えた。

 

マルちゃんは飼い主さんが大好きな様子で歩く後をずっと追いかけていた。

その後、私の所に来たのでナゼると「にゃー」と言って私に頭を擦り付けてた。

それを見ていた飼い主さんが「あー凄い!人見知りでなかなか初対面だと難しいんですよ」と言っていた。

「そうなんですか?こんなに良い子じゃないですか。ねえ、マルちゃん」と言うと飼い主さんが、「大丈夫そうですね。と言いながらマルちゃんの使用している食器や爪切り、ブラシを袋に詰め始めた。

 

私は「あれ?マルちゃん連れていって良いんですか?」

と聞くと、「はい、あなたなら大丈夫ですので、うちのキャリーバックでどうぞ」と言う。

1時間ほどで決定して大丈夫なのか?と私が心配になった。

 

「後から送りますが、他にいるものは有りますか?」

と聞かれ、古くて大きな爪とぎがあった。

「この爪とぎはきっとお気に入り名のでしょうね、出来ればこれを」

と言うと、困った顔で、

「さすがに大きいので、ホームセンターで売ってますから。」

と言われてしまった。

そりゃそうだと諦めた。

 

「あっ、名前ですがマルちゃんで変えないですから」

「そうなんですか?」

「はい、ただ、漢字を付けます。愛留と書いてマルです」

「あっこう書くのですね」

「で、首輪は剥げちゃうので着けないでとおっしゃっていましたが、やっぱり迷子になると困るので柔らかい生地で作ってあるのを持参しました。迷子札も付いてます」

と見せると

「あ~これなら大丈夫そうですね!」

と言いながら、マルちゃんに着けてくれた。

良かった。

 

じゃあ、そろそろ行きますかとバックを渡された。

私がすんなり入れられる訳がない。

見かねた飼い主さんが入れてくれたが、サイズが小さくちょっと窮屈そうだった。

中から激しく鳴く声がする。

 

「子猫の時以来、外に出たことは無いですから」との事だった。

こんなことなら体型を聞いてバックを持参すればよかった。

しかし、猫は自分の臭いがついてる方が安心するのかな?

とも思った。

 

行きもそうだったが、駅までの道のりは20分程あった。

電車に乗って帰宅まで1時間30分はある。

マルちゃんを早く出してあげたい気持ちでいっぱいになったが、今は安全に連れて帰る事が一番だと自分に言い聞かせた。

 

駅に着き「今日は有り難う御座いました。マルちゃん大切にしますから。」

「宜しくお願いします」と言い飼い主さんは去って言った。

 

あれっマルちゃんにお別れ言わないの?と思ったが、今まで8年間も一緒に居たのだから別れる辛さも半端無いのだろうと思った。

でも、一番寂しいのはマルに違いなかった。

本当に私の所に来て大好きな家族と引き離されて、マルは幸せなのだろうか、、、。

それを思うと今でも泣けてくる。

 

家に無事に到着したが、ずっと鳴いていた。

「ごめんね」と言いながら蓋を開けた。

中から飛び出したマルはコタツの中に逃げ込んでしまった。

 

急に知らない場所に連れて来られて、誰も知らない場所。

マルの不安は計り知れない。

前飼い主さんは、「30分位たてば慣れてくると思います」

といっていたが、半日たってもコタツから出てこなかった。

今は可哀想だから、そっとしておくことにした。

 

マルちゃんが使っていた餌入れと、ちょっと欠けているがお気に入りの噐を出して、ご飯の用意をした。

 

夕方になり、マルは出窓に移動した。

きっと、上から様子を伺いたかったのだろう。

ただ、2月は寒い。風邪をひかないか心配だった。

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不安そうなマルちゃん

 

 マルが到着してから夜になってしまつた。

ご飯も全く食べないし水も飲まない。

もちろんトイレも行かない。

本当にいつになったら、この場所に慣れてくれるのか、

心配になった。

 

この日はまたコタツに入ってしまい朝を迎えた。

2日目を迎え、さすがにお腹が空いたのだろう置いてある餌の前に行きカリカリと食べ始めた。

そして、何かを探しているような気がしたので軽くマルを持ちトイレのまえに連れて行った。

すると、ちゃんと中に入りオシッコをしたのである。

 

マルが使っていたものと同じ容器だが、臭いはない。

初めて使用するのかの不安もあったが、上手にしてくれて安心した。

 

それからは、部屋の中を歩き臭いを嗅いだりしながら部屋を廻り始めた。

しかし、コタツに直ぐ入ってしまうのは変わらない。

急に連れて来られたのだから、今はそっとしておこうと決めた。

 

3日目になり、コタツから出たり入ったりを繰り返してはいたが、上の階に確認にいくようになった。

特に誰かがいると上がって来る。

なので、私達家族が苦手な様子では無いのかなと思った。

 

私は朝、起きるのが早いので夜7時には寝ていた。

その為、寝床にその時間には必ず行く。

 

マルは何日かして、それを覚えたようで必ずその時間に近くなると私の前に立ち

「にゃーにゃー」と鳴くようになった。

 

その時間に電話が鳴り話をしていると、まるで

「ねえ、もう寝る時間だよ。」と言ってるかのように私に体を擦り寄せていた。

 

前飼い主さんも離していたが、「布団に良く入って寝ていますよ」と聞いていた。

なので、一緒に寝るのは好きなようだ。

これは嬉しい日課になりそうだ。

 

今は下の階のタンスの上がお気に入りの寝床となっているが、来た当初はしばらく一緒に寝ていた。

なので、思い出すとちょっと寂しくなる。

 

朝も今とは違い、人間が起きれば一緒に起きていた。

そして何も言わずカリカリを食べていた。

 

ても掛からなかったが、あまりに素直すぎる子だなとも感じていた。

しかし、1年もたてば変わってくる。

 

前は1っ匹での留守番や泊まりなどでキャットシッターさんが入った事もあったようだが、マルは寂しがり屋なのでは無いのかなと思った。

なので、一匹になれて人に合わせる生活になったのだろう。

 

言い換えれば、見事に飼いやすい猫ちゃんだ。

しかし、私からしてみればマルが本当にそれで楽しいのか考えていた。

私は、この日からある行動を始める事にした。