マルの里親になる①
譲渡までの道のり
今回は、一昨年にうちの家族になった愛留(マル)の事を書きたいと思います。
マルは一昨年の2月にインターネットの里親募集をみて決め譲渡して頂いた。
インターネットで決めるのは不安もあった。
かなりの期間探していたが、なかなか見つからず困っていた。
譲渡会に行ってみようと思ったり、動物病院のホームページを見たりした。
うちの希望条件はこうだ。
私も、もう折り返し地点を迎える年齢なので体力的にきちんと見てあげられる7才くらいの子。
メス、オスはどっちでも良い。
この条件で探していた。
譲渡会で良い子が見つかれば1週間のお試し期間がある。
相性もあるだろうから仕方ないが、1週間もいたら情が移り離れたくなくなってしまうんじゃないかと心配した。
しかし諦めきれず探し続けた。
家族からは子猫じゃないと直ぐ死んじゃうのではないかと言われ、
子猫は私たちが高齢になって病気になってしまい、そこからの里親探しは難しいと話をして了解を得た。
半年過ぎた頃、7歳くらいの猫を探していたが見つからない。
その頃、猫が居る宿に泊まりに行くことにした。
その宿には5匹の猫スタッフがいて、部屋に自由に入ってくる。
こたつもあり、それが目当てでくるのだろう。
私は猫のおもちゃを持参していたので早速出してみると可愛いクロネコちゃんが一緒に遊んでくれた。
ほんとに可愛くて人馴れしている。
皆、保護猫ちゃんなので逃げてしまう子もいるが、嬉しい場所であった。
しばらくすると部屋の外で「にゃにゃにゃにゃ」と高い声で鳴いている子がいた。
ドアはちょっと開けていると猫が入ってくる。
もちろん、その子の入って来た。
その子は小さな猫ちゃんだったので子猫だろうと思った。
とにかく人懐っこい子で大好きになった。
他の部屋も巡回していたが鳴きながら歩いているので、何処にいるかが直ぐにわかった。
部屋に入ると膝にのり直ぐ寝てしまう。
もう、可愛すぎるの一言しかなかった。
夕食の時間になり食堂に行き、おかみさんにさっきの猫の事を聞いてみた。
「あ~あの子は良く鳴くでしょ、10歳のメスなのよ。今年保護猫ちゃんを譲渡してもらって里親になったのよ。」と教えてくれた。
「え~10歳なのですね!子猫かと思いました」というとおかみさんは笑っていた。
私たちは部屋に戻り、「全然高齢猫有りじゃん」と話していた。
猫ちゃんたちには勤務時間があり、勤務時間が終わると奥の部屋に戻って行った。
翌朝になり、ドアを開けると次々に猫が入って来た。
「おはよう!おはよう!」とスリスリしてから他の部屋にと移動していった。
遠くから「にゃ、にゃ、にゃ」と近づく声がした。
あの10歳の猫ちゃんだ。
私の部屋に入ると鳴き声は止み、膝に乗ってきた。
ほんとに可愛い。
とにかく小さいおばあちゃん猫だ。
朝食の時間になると不思議と部屋から出ていった。
もしかしたら、猫たちのご飯も同じ時間なのかなと思った。
この宿は、お一人様で泊まる人が多いらしい。
気ままに来て猫に癒されて、猫好きには最高の宿だ!
食事も美味しいし、食べきれない程出るしお風呂も好きな時間に貸しきり状態で入ることが出来た。
他は、気を使うこともなく猫たちとゆっくり過ごすことが出来た。
チェックアウトの時間になり、おかみさんと猫スタッフに挨拶をして、後ろ髪を引かれながら玄関に向かった。
もちろんその時も猫たちの見送りがあった。
外に出ても付いてきた。
「また来るからね」と言い駅に向かった。
今回の旅行で猫を早く飼いたいと言う気持ちがだんだん増してきた。
私は帰りの電車の中で里親募集のホームページをじゃんじゃん見た。
私が良いと思う子でも、家族が納得しなければ決まらない。
かなり難しいが諦めなかった。
帰宅して、ある募集を見つけた。
歳は8歳の茶キジの女の子。
家から電車一本の所の方が譲渡既望を出していた。
私は説明文を読むことにした。
「この猫は、マルと言います。
子猫の時に大阪に在中の時に、保健所で働く同僚から飼って欲しいとの事で引き取りました。
他に黒猫も飼っていたので、それなりのしつけも出来ていて、とっても良い子です。
2ヶ月後に海外に転勤することになり連れて行く事が出来ず、里親さんを探しています。
大人しくて引っ掻く事などは、まずありません。
大切に飼って頂ける方を希望いたします。」
とあった。個人の方からの募集だったが、丁寧に書いてあった。
「えっ急に置いていかれちゃうの!」と何だか悲しくなった。
きっと、置いていかれる猫ちゃんは何も知らないまま知らない家に行くのである。
終生飼うのが当たり前だが事情や都合も変わるだろう。
せめて、安心して譲る事の出来る新しい飼い主を探しているのだから、それだけでも無責任とは言えないと思った。
とりあえず家族に相談する事にした。
もちろん生き物を飼うならば、お金はかかる。
しかし、私たちには猫がいない生活は考えられなかった。
この間まで、家に遊びに来てくれていた猫が亡くなった。
5年以上毎日、雨の日も大雪の日も、真夏のコンクリートで足が焼けてしまうのではないかと思う日も必ず来てくれていた。
近所の人が飼っていた猫だが、ほんとに人懐っこいアメリカンショートヘアーのオス猫だった。
いつも外を巡回している。
高齢でもあったが16歳で亡くなってしまい、その日から猫はいない生活となった。
その子も来ていたので、外猫に餌をあげる事もなく。
その子が来なくならないようにと猫は飼わないと決めていた。
なので、亡くなって直ぐに飼う気にはならなかったが寂しい毎日、毎日が過ぎていた。
写真と説明文を家族に見せることにした。
写真の猫は、自信無さげの悲しい表情をしていた。
実際会って見なければ本当の表情もわからないけど、ダメなら他のこを探そうと決めていた。
だが、「何々?」と写真を見せると「この子が良い!」と言い出したので理由を聞いてみると「悲しげな顔がたまらなく良い。」と言うのである。
全く選ぶ基準が私には理解出来なかった。
歳も伝えると、「大丈夫だよ。」という。
あんなに子猫が良いといっていたが、きっと泊まった宿の10歳の猫ちゃんが可愛かったのだろう。
さあ!話はまとまった!後は実行あるのみだ!。
しかし、いざ決まると変な緊張感が襲ってくる。
でも、負けずに進む事にした。
最初に、募集している方にコメントを入れた。
「このマルちゃんの里親希望なのですが。」と続き、家の状況、家族構成、年齢、住所、電話番号などをいれてみた。
すると、返信があった。
「では一度会いに来られますか?」との事だった。
即答したあとに、会いに行く日時を決めた。
2週間後に会いに行く事が決まったが、もし譲渡決まってからバタバタと準備するのも嫌だったので前もって連絡した。
「マルちゃんが今使っているトイレや食器、あと食べてる餌など決まっていたら教えていただけますか?」と聞いてみた。
本当に図々しい質問だったが、もし決まらなかったとして無駄になっても構わないと思っていた。
「うちのマルはカリカリの餌を食べています。ウエットフードだといつまでも食べてしまうので今はあげていません。トイレは上から入るタイプです。これは、購入して頂きます様にお願いします。かなり大きいので、車じゃないと持ち帰れないと思います。」と丁寧に教えてくれた。
私は早速トイレを探しインターネットで購入した。
餌はホームセンターで、食器はうちにある物をとりあえず使い、後でマルちゃんに合った物を揃える事にした。
募集写真の中に、ソファーで寝ている姿があったがうちはコタツなので大きめの座布団を用意することにした。
あとは、面会日を待つだけだった。
面会日の前日に「明日は宜しくお願いします」
とメールした。すると、、、。こう返事が来た。
「マルは、すてきなか里親さんとご縁があったような気がします。
宜しくお願いします」と返って来た。
お世辞かなとも思ったが嬉しかった。
面会日当日の朝メールが来た。
「今日は宜しくお願いします。もし大丈夫でしたら、うちにあるキャリーバックで連れて帰って大丈夫です。」
ちょっと、ビックリした。
審査期間があると思っていたし、急に連れてきて大丈夫なのかと不安もあった。
だが、会ってみなければわからないしと思い、
「もし連れて帰れるならばバック無いのでお願いします。」
と返信した。