小夜里

高齢猫まあちゃんの日記

まあちゃん捕獲当日。

命の選択なんて、出来る勇気はいらない。

 

捕獲の準備も済んで、捕獲日の当日となった。

前日は、シミュレーションが頭をめぐって眠れなかった。

昨夜、用意していた手順書を読み返し飼い猫に餌をあげて、カーテンを開けると窓際にまあちゃんが顔を覗かせていた。

 

私は、餌を準備して玄関に行くが、心臓がドキドキしてドアが開けられない。

人の気持ちは猫に伝わると聞いていたので、深呼吸を何度もしてドアを開けた。

その日は雨で寒かったが、まあちゃん1匹のみ来ていた。

ありがたい。

他の猫に見せる事なく捕獲出来ると安堵した。

捕獲器に餌をセットして、急いで部屋に戻るとまあちゃんが中で食べている。

当日手術の場合、食べ物はあまり食べさせる事は出来ない。

麻酔の効きが悪くなると聞いたからだ。

 

なので、時間は無く吊るした紐を部屋の中で切り、手動で紐を下ろした。

見事扉が閉まり捕獲成功した。

急いでタオルケットを掛けて中を暗くしたが、いつもあまりなかない猫でさえ恐怖は半端ないのだろう。

鳴き声は止まらなかった。

 

セミナーの方に捕獲の報告を入れる。

外にまあちゃんを置いていたが寒くないだろうか心配になった。

「玄関のなかに入れられる?」

と返信があり、入れると鳴き声は激しくなった。

うちの飼い猫が落ち着かず、まあちゃんの捕獲器を何度も見に行き臭いをかいでいる。

何故かそうする時だけは、まあちゃんは鳴き止んだ。

 

朝3時過ぎに捕獲して病院は9時から5時間は捕獲器にいるまあちゃんを見守る。

鳴き叫んでいる。

まあちゃんの気持ちを思うと捕獲したことが良かったのか不安が襲ってきた。

しかし、怪我も風邪症状もある、まあちゃんをほっておいて外で暮らさせる事は出来なかった。

 

以前、近所に鼻水、よだれ、目やにが酷く、皮膚も毛が抜け落ちてヨボヨボ道路をあるいている猫がいた。

私は誰か助けてくれないかと毎日祈るようだった。

餌は駐車場ので貰っているようで大丈夫だったが、ナゼ誰も保護しないのか不思議だった。

警戒もつよく捕獲は難しかったのかもしれないと今は思う。

猫達は必死に生きていた。

 

その猫と全く同じ境遇になってしまうのではないかと1年前の出会いから気になっていた。

なので、今回の捕獲はまあちゃんのこれからの為と気持ちを切り替えた。

 

病院に行く時間になったが、外は大雨。

まあちゃんが濡れないようにカッパで覆い自転車の荷台に乗せて出発した。

ほんとならタクシーで行きたかったが、シートを汚したりが気になって乗ることは出来なかった。

 

自転車で2駅目。

結構走ると距離はあったが迷うこと無く到着した。

 

病院の中に入ると同意書を書くように言われた。

しかし、まあちゃんは高齢猫なので手術出来るかを先生に確認したかった。

その旨を受付の方に伝えると奥から先生がきた。

 

先生にきいてみると、今まで想像していなかった言葉を投げ掛けられた。

「高齢だと麻酔をして亡くなるリスクは高い。」

ここまでは良かった。

私の中で麻酔をするのであれば、手術はしないと決めていた。

そして先生に血液検査のみをして頂くようにお願いすると。」

「血液検査をするにしても麻酔しないと出来ません。あなたこの中から麻酔しないで出せますか?」と言われ、どうにもこうにもどうすれば良いのかわからない。

不安が止まらない私は、セミナーの方に 

「何かあったらメールして」と言っていた事を思い出した。

 

先生には暫く時間をもらい、相談のメールをして電話をすると

「え!血液検査で麻酔するの?」

「はい、なのでどうしたら良いのかわからなくて」

「確かに麻酔をしてするのは、あなたが決断するしかないけど、麻酔しないで検査してくれるところもあるから探す?」と言われた。

私も急いで決めて、もしまあちゃんが死んでしまったら落ち込むでは済まない。

まあちゃんの将来を奪うことになる。そんな権利は私にあるはずは全くないのである。

先生には、断りを入れ病院の外に行き引き続き病院を探す事にした。